2011-01-01から1年間の記事一覧

 女帝と道鏡

和気清麻呂(朝倉文夫作) 私の母は少年の私に、奈良時代について二つのことを教えてくれた。 一つは、「奈良、七代、七十四年」。この場合「七」は「ナナ」と読んで語呂合せする。奈良時代は天皇が七代で、七十四年間つづいたという暗記法である。 もう一つ…

 光明子と藤三娘

「光明池(こうみょういけ)」という名前は、地元以外の多くの関西人には、駅名として知られはじめたと思う。人口十数万の泉北ニュータウンを走る鉄道の駅名で、駅が開業したのが1977年というから最近のことである。もちろん付近に「光明池」という池がある…

 草壁系と高市系

先に掲げた「大津皇子の悲劇」「藤原不比等」「長屋王の悲劇」の中で、折りに触れて書いてきた「草壁系と高市系」について、私の考えのあらすじをまとめておく。詳細は先述の記事を参照していただくという趣旨なので、この文章はメモ風で味気ないものになる…

【感動日本史】 阿修羅幻想

法隆寺に「橘夫人念持仏(たちばなぶにんねんじぶつ)」という仏像がある。 大きな厨子(ずし)に入った阿弥陀三尊像だが、像自体は高さ30㎝ほどの小さなもので、いかにも女人が身辺に置いた念持仏にふさわしい愛らしさである。とは言え、「伝」の文字がつい…